「自分のブログを、AIの学習に使ってほしくない」。そう思っても、これまではAIの会社ごとに別々の書き方を調べて、robots.txt(収集ロボットへのお願いを書くファイル)に並べる必要がありました。
それが変わりそうです。2026年10月30日、OpenAI・グーグル・マイクロソフト・Anthropicの4社が、AIの学習を断るための共通の目印に対応すると発表しました。
この記事では、何をどう書けばいいのか、いつから効くのか、検索への影響はあるのかを整理します。あわせて、日本の大手サイトがもう対応しているかも、実際に調べました。
⚠️ 本記事は2026年11月2日時点の公式文書と報道にもとづきます。マイクロソフトとグーグルは公式文書、Anthropicは担当者の公開投稿で確認しました。OpenAIの公式ページは当ブログの調査ツールからアクセスできなかったため、報道をもとにしています。
✅ 先に結論
- robots.txtに「User-Agent: __usage_ai-training」と「Disallow: /」の2行を書くと、4社に「AIの学習に使わないで」と伝えられるようになります
- ただし、すぐに全部効くわけではありません。Anthropicは対応を始めていますが、マイクロソフトは2027年2月1日、グーグルは2027年初め、OpenAIは「今後数か月」としています
- 対象はAIの学習だけです。グーグル検索やBing検索に表示されるかどうかには、影響しないと各社が説明しています
- これまでの会社ごとの書き方(GPTBotなど)はそのまま有効です。当面は、両方を書いておくのが確実です
- 当ブログで調べた日本の大手23サイトでは、まだ対応しているところは0件でした
何が発表されたのか
これまで、AIの学習を断りたいときは、会社ごとに違う名前のロボットを1つずつ書く必要がありました。
- OpenAIなら「GPTBot」
- グーグルなら「Google-Extended」
- Anthropicなら「ClaudeBot」
今回の発表は、これを1つの共通の名前「__usage_ai-training」にまとめよう、というものです(先頭のアンダーバーは2つ)。
もとになっているのは、AnthropicのKevin Kelley氏が10月30日にネットの標準化団体IETFへ出した提案文書です。ただし、これは個人として出された提案で、IETFの正式な標準になったわけではありません。4社が「この目印を尊重する」と表明した、という段階です。
書き方:robots.txtに2行
サイト全体をAIの学習に使わないでほしい場合は、robots.txtにこう書きます。
User-Agent: __usage_ai-training
Disallow: /
一部のページだけ断ることもできます。たとえば、ブログ記事は断り、プレスリリースは使ってよい、という書き方です。
User-Agent: __usage_ai-training
Disallow: /
Allow: /press-kit/
何も書かなければ、「意思表示なし」として扱われます。新しい命令や文法が増えるわけではなく、これまでのrobots.txtの書き方そのままなのがポイントです。
いつから効くのか:会社ごとに違う
今日書いて、今日から4社すべてに効くわけではありません。対応時期は会社ごとに違います。
| 会社 | 対応時期 | 確認した情報源 |
|---|---|---|
| Anthropic | 対応を開始済み(全サービスへの対応には時間がかかる) | 担当者の公開投稿 |
| マイクロソフト | 2027年2月1日から | Bingの公式ブログ |
| グーグル | 2027年初めの予定 | グーグルの公式文書 |
| OpenAI | 「今後数か月のうちに」 | 報道(The Next Webなど) |
何が対象で、何が対象外か
対象は「AIの学習」だけ
提案文書では、AIの学習を「生成AIのモデルの中身(学習したパラメータ)を変えるために使うこと」と定義しています。つまり、AIを賢くするための材料にすることだけが対象です。
検索結果への表示には影響しない
いちばん気になる検索への影響は、各社が「ない」と説明しています。
- グーグル:共通の目印で断ると、これまでの「Google-Extended」で断ったのと同じ扱いにすると説明しています(グーグルのブログと報道による)。そしてGoogle-Extendedは、グーグル検索への表示や順位には影響しないと公式文書に書かれています
- マイクロソフト:この設定はBingの通常の検索結果に載るかどうかを変えないと明言しています
AIの「答え」に使われることは別扱い
AI検索の答えの材料として、ページをその場で読みに来る使い方(グラウンディングと呼ばれます)は、学習とは別です。マイクロソフトは、これをページごとの別の設定で決める仕組みにしています。共通の目印だけでは、AI検索で引用されるかどうかまでは決まらないと考えておきましょう。
これまでの書き方はどうなる?
そのまま有効です。提案文書にも「これまでのやり方は何も変えない」とあり、Anthropicの担当者も「既存のロボットの制御を置き換えるのではなく、補うもの」と書いています。
各社の対応がそろうまでは、新しい目印と、これまでの会社ごとの書き方を両方書いておくのが確実です。
# 新しい共通の目印
User-Agent: __usage_ai-training
Disallow: /
# これまでの書き方(当面は併記)
User-Agent: GPTBot
Disallow: /
User-Agent: ClaudeBot
Disallow: /
User-Agent: Google-Extended
Disallow: /
User-Agent: CCBot
Disallow: /
【調査】日本の大手サイトは、もう対応している?
当ブログは10月5日に、日本の大手24サイトのrobots.txtを調べ、11サイトがAIの学習用ロボットをブロックしていることを確かめました(→自分のブログはAIの学習データに入っている?)。
同じ24サイトを、発表から3日後の11月2日にもう一度調べました。
| 調べたこと | 結果 |
|---|---|
| robots.txtを読めたサイト | 23サイト(ピクシブは今回は取得できず) |
| 共通の目印「__usage_ai-training」を書いているサイト | 0サイト |
| Cloudflareの「Content-Signal」など、似た仕組みを書いているサイト | 0サイト |
朝日新聞や日本経済新聞のように、これまでAIの学習を全面的にブロックしてきたサイトも、まだ新しい目印は書いていませんでした。発表から3日しかたっておらず、各社の対応も2027年にかけてなので、様子見なのは自然です。ただし、すでに会社ごとの書き方で断っているサイトは、新しい目印がなくても困りません。
知っておきたい注意点
1. あくまで「お願い」:robots.txtは、守るかどうかを相手に任せる仕組みです。4社は尊重すると表明していますが、ほかのAIの会社が守るとは限りません。メタは「共通の目印には賛成」としたものの、守るかどうかは明言していないと報じられています。
2. すでに集められた分は消えない:提案文書は、ページを取得した時点のrobots.txtの設定を基準にしています。今日書いても、過去に集められた分がさかのぼって消えるわけではありません。
3. 個別の契約が優先されることがある:提案文書には、サイトとAIの会社が個別に結んだ契約があれば、そちらが優先される場合があると書かれています。
4. 自分で書き換えられるのは自分のサイトだけ:noteやはてなブログ、Amebaなどのブログサービスでは、robots.txtは運営会社が管理しています。書き手が自由に書き加えることは、多くの場合できません。
当ブログの方針
当ブログは、今のところAIの学習を断っていません。以前の調査で、小さな個人ブログは「AIに使われる」より先に「AIに見つけてもらえない」のが現実だと分かったからです(→自分のブログはAIの学習データに入っている?)。
ただ、選べるようになったこと自体が大きな前進です。これまでは、AIの会社が増えるたびに新しいロボット名を調べて書き足す必要がありました。共通の目印が広まれば、2行で意思表示できるようになります。自分の記事をどう扱ってほしいか、一度考えてみるよい機会です。
自分の記事の扱いを、自分で決められるブログを持つなら
共通の目印を使うには、robots.txtを自分で書き換えられることが前提です。独自ドメインと自分のサーバーでブログを運営していれば、今日からでも書き加えられます。
robots.txtを自分で管理できるブログを始めるなら
独自ドメインでWordPressのブログを始めるなら、レンタルサーバーが必要です。個人向けのサーバーはレンタルサーバー比較にまとめていますが、迷ったら定番のエックスサーバーが無難です。ドメインとセットで申し込めて、robots.txtも自分で管理できます。
エックスサーバー公式サイトを見るよくある質問
Q1. 共通の目印を書くと、グーグル検索の順位が下がりますか?
A. 下がらないとされています。グーグルは、共通の目印で断った場合を「Google-Extended」で断ったのと同じ扱いにするとしていて、Google-Extendedは検索への表示や順位に影響しないと公式文書に書かれています。
Q2. 今すぐ書いても意味はありますか?
A. あります。Anthropicはすでに対応を始めていて、ほかの3社も2027年にかけて対応する予定です。ただし、すぐに全社に効くわけではないので、当面はGPTBotなどの会社ごとの書き方もあわせて書いておくのが確実です。
Q3. 書けば、すでに学習に使われた分も消えますか?
A. 消えません。設定は、ページが取得されたときのrobots.txtにもとづいて判断されます。過去に集められた分や、学習ずみのAIから取り除くものではありません。
Q4. AI検索(ChatGPTの検索など)で紹介されなくなりますか?
A. 共通の目印は「学習」が対象で、AI検索の答えにページを使うことは別扱いです。AI検索に出たくない場合は、各社の検索用ロボット(OAI-SearchBot、Claude-SearchBotなど)を別に断る必要があります。詳しくは自分のブログはAIの学習データに入っている?で解説しています。
Q5. noteやはてなブログでも使えますか?
A. サイト全体のrobots.txtは運営会社が管理しているため、多くの場合、書き手が自分で書き加えることはできません。各サービスが対応するかどうかは、それぞれの案内を確認してください。
まとめ
- 4社が、AIの学習を断る共通の目印「__usage_ai-training」に対応すると発表(2026年10月30日)
- robots.txtに2行書くだけ。ただし対応時期はAnthropicが開始済み、ほかは2027年にかけて
- 対象は学習だけ。検索結果への表示には影響しないと各社が説明
- これまでの会社ごとの書き方も有効。当面は両方書くのが確実
- 日本の大手23サイトの対応はまだ0件(11月2日時点)
参考にした情報
- Machine-Readable Training Preference Signal(draft-kelley-aipref-training-preference-signal-00)– IETF Datatracker(提案文書。2026年10月30日)
- Kevin Kelley氏(Anthropic)の投稿 – IETF ai-controlメーリングリスト(2026年10月30日)
- Your content, your choice: clearer preferences for training and grounding – Bing Blogs(マイクロソフト。2026年10月30日)
- Googleのクローラーの説明(Google-Extended) – Google検索セントラル
- Google, Microsoft, OpenAI and Anthropic back one AI training opt-out – The Next Web(OpenAIの対応時期、メタの反応)
- Google, OpenAI, Microsoft, and Anthropic back a shared robots.txt AI training signal – Coywolf