2026年10月末、OpenAIとグーグルが、性格のまったく違う新しいAIモデルを相次いで発表しました。
- 10月26日:OpenAIのGPT-6.1 Terra。パソコンの画面を見て操作するのが得意で、料金がとても安い実務向けモデル
- 10月28日:グーグルのGemini 4 Carbon。プログラミングとサイバー攻撃からの防御に強く、まずは防御側の専門家だけに配られる最上位モデル
この記事では、それぞれ何ができて、誰がいつ使えるのかを整理します。
⚠️ 本記事は2026年11月2日時点の情報です。GPT-6.1 TerraはOpenAIの開発者向け資料と報道、Gemini 4 Carbonはグーグルの公式ブログで確認しました。OpenAIの発表ページは当ブログの調査ツールからアクセスできなかったため、性能の数字は報道(OpenAIの発表の引用)にもとづきます。
✅ 先に結論
- GPT-6.1 Terraは、画面を見てパソコンを操作する作業と、自然な文章を書くのが得意な速くて安いモデルです。API料金は入力1ドル・出力5ドル(100万トークンあたり)
- Terraは、有料プランの「ChatGPT Work」とプログラミング用の「Codex」で使えます。ふだんのChatGPTのチャットでは選べません
- Gemini 4 Carbonは、グーグルが「最も強いモデル」と呼ぶ、プログラミングとサイバー防御に強いモデルです。ソフトの弱点を見つけるテストで88.2%を出しました
- Carbonはまだ一般には使えません。まず一部のサイバー防御の専門家に配り、開発者や一般の人には「できるだけ早く」提供するとしています
2つのモデルを一言でいうと
GPT-6.1 Terra:パソコン操作が得意な、安い実務モデル
OpenAIは開発者向けの資料で、Terraを「目で見て考えること、正確なパソコン操作、自然で分かりやすい文章のための、速くて効率的なモデル」と説明しています。
できること
- ブラウザやパソコンの画面を見て、クリックや入力などの操作をする
- 画像や画面の内容を読み取って考える
- 読みやすい文章を書く
一度に読み込める長さは最大約105万トークンで、知識は2026年6月1日までのものです。
性能(OpenAIの発表より)
報道が伝えたOpenAIの発表によると、前の世代の同じ系統のモデル(GPT-5.6 Terra)と比べて次のように改善しています。
- AIに作業を任せるテスト(Agents’ Last Exam)で、約3分の1の費用で15ポイント高い成績
- 事実の誤りを調べる社内テストで、誤りの割合が53.6%から16.7%に(Terraは考える量を少なくした設定)
- プログラミングのテスト(Terminal-Bench 4.0)で、21.5%から50.3%に(Terraは考える量を最大にした設定)
ただしOpenAIは、いちばん難しいプログラミングには、上位のGPT-6.1 SolやGPT-6 Astraのほうが向いているとしています。
料金がとにかく安い
APIの料金(100万トークンあたり)は、入力1ドル・出力5ドル。同じ時期のほかのモデルと比べると、次のとおりです。
| モデル | 入力 / 出力(ドル) | 位置づけ |
|---|---|---|
| Claude Haiku 5.5 | 0.10 / 0.50 | 大量の作業向けの小型モデル |
| GPT-6.1 Terra | 1 / 5 | パソコン操作が得意な実務モデル |
| GPT-6.1 Sol | 2 / 10 | OpenAIの日常向け上位モデル |
| Gemini 4 Carbon | 2 / 10 | 導入価格。その後は4 / 20 |
| Claude Opus 5.5 | 4 / 20 | Claudeの上位モデル |
※Claude Haiku 5.5は、1回の入力が10万トークン以下の場合の料金です。
どこで使える?
- ChatGPT Work(パソコン用アプリとWeb)と、プログラミング用のCodex(アプリとコマンド操作の道具)
- 対象はPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduの有料プラン(OpenAIの更新履歴と報道による)
- 開発者はAPIから「gpt-6.1-terra」として使える
- ふだんのChatGPTのチャットでは選べません
ChatGPT Workは、ファイルやアプリ、道具を使って、何段階にも分かれた作業をこなすための場所です。ふだんの「質問して答えてもらう」チャットとは、入り口が分かれています。
Gemini 4 Carbon:サイバー防御に強い、グーグルの最上位モデル
グーグルは10月28日、公式ブログでGemini 4 Carbonを発表しました。2週間前に出たGemini 4 Argonをもとにしたモデルで、グーグルは「最先端のサイバーセキュリティと、長時間の作業の能力を持つ、最も強いモデル」と説明しています。
できること
- ソフトウェアの弱点(脆弱性)を見つけ、確かめ、直す
- 何時間もかかる長い作業を続ける
- 複雑なプログラミング
性能(グーグルの発表より)
- ソフトの弱点を見つけるテスト(SEC-bench Pro)で88.2%
- 第三者機関Artificial Analysisの総合的な賢さの指標(v5.0)で1位(59点)
- Webページに仕込まれた「隠し指示」にだまされる割合が0.0%(Argonは0.7%)
- グーグルの社内テストで、根拠のない主張がArgonの約半分に
- グーグルのChromeチームの評価では、修正プログラムの質が「ほかの研究所の大型モデルの10倍以上」
外部のテストは、安全のための制限を外した状態で測ったと説明されています。
誰が使える?
ここが大きなポイントです。Carbonはまだ一般には使えません。
- まず、一部のサイバー防御の専門家に提供
- 次に、グーグルの「Fairwind」という枠組みで、信頼できるパートナーへ段階的に拡大
- そのあと、開発者・企業・一般の人へ「できるだけ早く」
料金は、提供が始まったときは入力2ドル・出力10ドルの導入価格で、その後入力4ドル・出力20ドルになる予定です。
なぜ「強いモデル」ほど配り方が慎重なのか
サイバー攻撃を防ぐのが得意なAIは、裏返せば攻撃にも使えてしまうおそれがあります。ソフトの弱点を見つけられるということは、悪い人が使えば攻撃の入り口を探せる、ということだからです。
そのため最近は、最も強いモデルほど、まず守る側の専門家に配り、様子を見ながら広げる流れになっています。OpenAIのGPT-6 Astraも、サイバーセキュリティで自社基準の最も高い「Critical」の水準に達したとして、段階的に提供されました(→GPT-6とは?)。
一方で、Terraのように安くて実務に強いモデルはすぐに広く配られる。「最強は慎重に、実務用は手軽に」という二本立てが、2026年秋のAIの特徴です。
私たちの使い方はどう変わる?
- ChatGPTの有料プランを使っている人:ChatGPT WorkやCodexでTerraを選べば、画面を見ながらの作業を任せやすくなります
- APIで自分のツールを作っている人:Terraの料金なら、画面を読み取る機能を組み込んでも費用を抑えやすくなります
- Geminiを使っている人:Carbonはまだ先です。今使えるのはGemini 4 Argonなどです(→AIが「同僚」になる?2026年10月のAIエージェント最新動向)
なお、当ブログは主にClaudeで運営しているため、TerraやCarbonはまだ自分たちで使い込めていません。この記事では使用感ではなく、公式資料と報道で確認できた事実だけをまとめています。
AIにパソコン操作を任せるときは、Webページの隠し指示に注意が必要です。Carbonが「だまされる割合0.0%」を売りにしているのも、それだけ大きな問題だからです。詳しくはAIにだけ読める「隠し文字」とはにまとめています。
AIが画面を操作する時代に、強くなる人
AIが画面を見てクリックし、プログラムまで書くようになると、人の仕事は「何をさせるか」を決めて、「結果が正しいか」を確かめることに移っていきます。そのとき、Webページやプログラムがどんなしくみで動いているかを知っている人は、AIのつまずきにすぐ気づけます。
Webの仕組みを基礎から学びたい人へ
当ブログの立場は一貫して「まず無料の独学から」です(→独学とスクールの考え方)。そのうえで、HTML・CSSから順番に学べる教材と質問できる相手がほしい人には、買い切り型のデイトラという選択肢があります。評判を調べた結果はデイトラの評判・口コミにまとめました。
デイトラ公式サイトでコースを見るよくある質問
Q1. GPT-6.1 Terraは無料プランで使えますか?
A. 2026年11月2日時点で確認できた範囲では、使えるのはPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduの有料プランで、場所もChatGPT WorkとCodexに限られます。無料プランについての記載は見当たりませんでした。
Q2. GPT-6.1 TerraとGPT-6 Sol・Lunaは、どう違うのですか?
A. SolとLunaはふだんのチャット向け、Terraはパソコン操作や画像の読み取りを含む実務向けのモデルです。GPT-6のモデルの全体像はGPT-6とは?にまとめています。
Q3. Gemini 4 Carbonは、いつ使えるようになりますか?
A. グーグルは時期を明らかにしていません。まずサイバー防御の専門家、次に信頼できるパートナーへと段階的に広げたあと、開発者・企業・一般の人へ「できるだけ早く」提供するとしています。
Q4. 「GPT-6.1は中止された」という話を見ましたが本当ですか?
A. 当ブログが確認した範囲では、そうした事実は見つかりませんでした。GPT-6.1 Solは2026年9月29日に、GPT-6.1 Terraは10月26日に提供が始まっています。まとめサイトの情報には誤りが混ざることがあるので、各社の公式発表で確認するのがおすすめです。
Q5. AIにパソコンを操作させるのは安全ですか?
A. 便利な一方で、注意も必要です。Webページに仕込まれた隠し指示にだまされたり、思わぬ操作をしたりするおそれがあります。お金や大事なデータにかかわる操作は人が確認する、渡す権限を小さくする、といった使い方を心がけましょう。
まとめ
- GPT-6.1 Terra(10月26日)は、パソコン操作と画像の読み取りが得意な速くて安い実務モデル。API料金は入力1ドル・出力5ドル
- Terraは有料プランのChatGPT WorkとCodexで使える。ふだんのチャットでは選べない
- Gemini 4 Carbon(10月28日)は、プログラミングとサイバー防御に強いグーグルの最上位モデル
- Carbonはまだ一般には使えない。まず防御側の専門家から段階的に提供
- 「最強は慎重に、実務用は手軽に」が、2026年秋のAIの流れ
参考にした情報
- GPT-6.1 Terra – OpenAI 開発者向け資料(モデルの説明・料金・読み込める長さ)
- ChatGPTのモデル一覧 – ChatGPT Learn(使える場所)
- OpenAI launches GPT-6.1 Terra for computer use – Data Phoenix(2026年10月26日の提供開始と性能)
- OpenAI launches GPT-6.1 Sol – Data Phoenix(GPT-6.1 Solの提供開始と料金)
- Introducing Gemini 4 Carbon – Google(2026年10月28日)
- Google announces Gemini 4 Carbon with ‘significant’ coding gains – 9to5Google