AIで効率化できる業務・できない業務|国の調査と研究で分かった「効果が出る仕事」【2026年】

AIで効率化できる業務・できない業務|国の調査と研究で分かった「効果が出る仕事」【2026年】

日本企業の86.4%が生成AIを業務で使う時代になりました。それでも、効果を実感できている業務は偏っています。総務省の2026年の調査で13の業務を比べると、効果の実感がいちばん高いのは「議事録・メール作成補助」で72.3%。逆に、熟練者がAIを使ってかえって遅くなった研究もあります。効果が出る業務の見分け方と、業務別の使いどころをまとめました。

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📖 この記事でわかること

  • 【国の調査】効果を実感している業務ランキング
  • 【研究】AIで速くなった仕事・遅くなった仕事
  • 効果が出る業務の4つの条件
  • 業務別:AIの使いどころ早見表
  • 当ブログの実測:AIに「仕組み」を作ってもらうと一瞬で終わる

総務省が2026年7月に公表した「令和8年版 情報通信白書」によると、日本企業の86.4%が、何らかの業務で生成AIを使っています。前年の調査(55.2%)から一気に広がりました。

ところが、同じ調査で「AIの効果を感じている業務」を聞くと、結果は大きく偏っていました。AIを入れたのに楽にならないのは、AIの性能より使う業務の選び方に原因があることが多いのです。

この記事では、国の調査と海外の研究をもとに、AIで効率化できる業務・できない業務の見分け方をまとめます。当ブログでAIに作ってもらった仕組みの実測値もあわせて紹介します。

⚠️ 本記事は2026年10月7日時点の公開情報にもとづきます。紹介する研究は、それぞれ実施時期のAIで行われたものです。AIは急速に進化しているため、数字は「傾向」として読んでください。出典は記事末尾に記載しています。

✅ 先に結論

  • 13の業務のうち、効果を実感する企業がいちばん多いのは「議事録・メール作成補助」で72.3%。2位の社内ヘルプデスク(42.7%)を大きく引き離しています
  • 研究でも、文章作成は作業時間が40%短くなり、品質も18%上がりました。一方、熟練エンジニアが慣れた仕事でAIを使うと、19%遅くなった研究もあります
  • 効果が出やすいのは「下書きで済む」「正しいかすぐ確かめられる」「まだ慣れていない」仕事です
  • 始める順番は、①議事録・メール → ②決まった作業をツール化 → ③自分で作れない自動化は外注がおすすめです

【国の調査】効果を実感している業務ランキング

まずは、日本企業の実態です。総務省の調査(2025年度に実施)では、13の業務について「生成AIを使っているか」と「効果を感じるか」を尋ねています。

総務省の調査で、13の業務ごとに生成AIの効果を感じる企業の割合を比べた横棒グラフ。議事録・メール作成補助が72.3%で突出している
議事録・メールだけが突出しています。2位以下は、どれも半数に届きません。
業務使っている効果を感じる
議事録・メール作成補助71.2%72.3%
社内ヘルプデスク50.9%42.7%
製造・生産42.4%39.8%
研究・商品開発49.8%39.1%
営業・販売59.6%37.5%
マーケティング・広報49.4%36.6%
カスタマーサポート44.7%33.8%
経理・財務44.7%29.7%
法務42.6%28.8%
社内システム開発・運用50.4%26.3%
調達38.0%25.9%
人事41.0%23.5%
経営46.0%20.1%

※「使っている」は、AI中心の業務に変えた・部署の特定業務で使っている・従業員が個人で使っている、の合計。総務省「令和8年版 情報通信白書」の公開データから当ブログで計算。

この表から分かる2つのこと

1つ目は、議事録・メールだけが「別格」だということです。使っている割合と効果を感じる割合が、ほぼ同じ7割です。使った企業のほとんどが効果を実感しています。

2つ目は、「使っている」のに「効果を感じにくい」業務があることです。営業・販売は使っている割合が2番目に高い(59.6%)のに、効果を感じるのは37.5%。社内システム開発(50.4%→26.3%)や経営(46.0%→20.1%)も、差が大きくなっています。

「みんなが使っている=効果が出る」ではない、ということです。

【研究】AIで速くなった仕事・遅くなった仕事

では、なぜ業務によって差が出るのか。実際に時間や成果を測った研究を見ると、手がかりが見えてきます。

文章作成、問い合わせ対応、コンサル業務、熟練エンジニアの4つの研究で、AIを使ったときの作業時間や成果の変化を比べた図
同じAIでも、仕事の種類と人によって、結果は逆にもなります。

文章作成:時間40%短縮、品質18%向上

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が2023年に科学誌Scienceで発表した実験です。マーケター、コンサルタント、人事担当者など453人に、助成金申請のカバーレター、組織変更を伝えるメール、分析計画など、仕事で書く文章を作ってもらいました。

ChatGPTを使ったグループは、作業時間が40%短くなり、第三者が採点した品質も18%上がりました。もともと成績が低かった人ほど、伸びが大きかったのも特徴です。議事録・メールで効果を感じる企業が多いことと、よく合う結果です。

ただし研究者自身も、この課題は事実の正確さまでは求めないものだったと断っています。「下書きで済む仕事」だからこそ、ここまでの効果が出たとも言えます。

問い合わせ対応:新人は34%アップ、ベテランはほぼ変化なし

スタンフォード大学などの研究で、5,179人のカスタマーサポート担当者を調べたものです。AIの回答支援を使うと、1時間あたりに解決できた件数が平均14%増えました。

注目は、その内訳です。新人や経験の浅い人は34%増えたのに対し、ベテランはほとんど変わりませんでした。AIが、できる人のやり方を新人に伝える役目を果たしたと考えられています。

コンサル業務:得意な課題は速くなり、苦手な課題は正答率が下がった

ハーバード大学などがボストン コンサルティング グループ(BCG)のコンサルタント758人で行った実験です。

AIが得意な種類の課題では、AIを使ったグループのほうが12.2%多くの課題をこなし、25.1%速く、品質は40%以上高くなりました。

ところが、AIが苦手な課題を混ぜると結果が逆転します。AIなしのグループは84%が正解したのに、AIを使ったグループの正答率は60〜70%に下がりました。AIのもっともらしい答えに引きずられたと考えられています。研究者は、AIの得意・不得意の境目がでこぼこしていることを「ギザギザの境界線」と呼んでいます。

熟練エンジニア:19%遅くなったのに「20%速くなった」と感じていた

いちばん意外なのが、AIの研究団体METRが2025年7月に発表した実験です。経験豊富なエンジニア16人が、自分が長年関わってきたソフトウェアの課題246件に取り組みました。

AIを使った課題は、使わなかった課題より19%時間がかかりました。しかも本人たちは、事前に「24%速くなる」と予想し、終わったあとも「20%速くなった」と感じていたのです。

ただし、METRは2026年2月の追跡調査で、同じ開発者の作業時間は18%短くなったという推定も出しています。ただ、こちらは誤差の幅が大きいうえ、「AIなしではやりたくない」と課題を出さない人が増えたため、METR自身もデータの信頼性は低いとしています。AIの進化で結果が変わりつつある途中、と読むのが正確です。

効果が出る業務の4つの条件

調査と研究を重ねると、AIで効果が出やすい業務には共通点があります。

AIで効果が出やすい業務の4つの条件をまとめたチェックリスト
4つのうち当てはまる数が多い業務から任せていくのが近道です。
  1. 下書きで済む:最後に人が直す前提の仕事。議事録やメール、文章作成がこの典型で、調査でも研究でも効果がはっきり出ています
  2. 正しいかすぐ確かめられる:結果を見ればおかしな点に気づける仕事。コンサルの研究のように、正誤を見分けにくい仕事ほど、AIのもっともらしい間違いに引きずられます
  3. まだ慣れていない:新人や、自分の専門外の作業。問い合わせ対応の研究では新人ほど伸び、熟練エンジニアの研究では慣れた仕事でかえって遅くなりました
  4. 確認の時間まで含めて測る:熟練エンジニアは「速くなった」と感じていたのに、実際は遅くなっていました。体感ではなく、確認や修正の時間も含めて測ることが大切です

Anthropicが2025年11月に公表した分析でも、Claudeとの会話10万件から「AIなしなら平均約90分かかる作業を、約80%短縮している」と推定しています。ただしこれはClaude自身による推定で、出力を確認・修正する時間は含まれていないと、Anthropic自身が注意書きをしています。

業務別:AIの使いどころ早見表

国の調査にある13の業務について、AIに任せやすい作業と、人が必ず見るべき点をまとめました。

業務AIに任せやすい作業人が必ず見る点
議事録・メール要約、下書き、言い換え固有名詞・数字・決定事項
社内ヘルプデスクよくある質問への回答案社内規程の最新版と合っているか
製造・生産手順書・チェックリストの下書き現場の実際の手順と合っているか
研究・商品開発アイデア出し、資料の要約出典と数字
営業・販売提案書のたたき台、文面の調整価格・納期など約束にかかわる内容
マーケティング・広報コピー案、SNS投稿案言いすぎ・他社の権利
カスタマーサポート返信文の下書き、問い合わせの分類返金・補償など判断が要る回答
経理・財務Excelの関数や集計の作り方計算結果(計算は関数やツールで)
法務契約書の論点の整理最終判断は専門家に
社内システム開発小さな自動化ツール、エラーの調査慣れた仕事ではかえって遅くなることも
調達見積もりの比較表づくり取引先の情報の扱い
人事求人票・研修資料の下書き個人情報を入れない、公平さ
経営会議資料の要約、論点の整理判断そのものは任せない

どの業務でも共通するのは、AIに任せるのは「作業」で、「判断」は人が持つという線引きです。会社のデータを入れるときの注意はAIに入力してはいけない情報7つにまとめています。

当ブログの実測:AIに「仕組み」を作ってもらうと一瞬で終わる

最後に、このブログでの実例です。当ブログでは、記事の点検や集計などの作業そのものではなく、作業をこなす小さなプログラムをAI(Claude)に作ってもらっています。2026年10月7日に、所要時間を測りました。

作業中身かかった時間
サイト全体の点検157ページのタイトル・説明文・リンク切れ・画像を確認0.7秒
表記の点検全ページから、崩れた記号や外国語の文字を探す0.2秒
データの集計ロト6の1,954回分の当せんデータを集計0.1秒
図の作成記事に使う図解47枚をまとめて作り直す0.1秒

人が1ページずつ開いて確かめたら、157ページで数時間はかかるでしょう。AIに毎回お願いするより、「仕組み」を1回作ってもらうほうが、2回目からの効率はけた違いになります。会社の仕事でいえば、毎月の集計やチェック作業がこれに当たります。

それでも、確認の時間は減らせない

一方で、この記事の調査では、AIだけでは足りない場面が2回ありました。

1つは、METRの追跡調査の「18%」が、速くなったのか遅くなったのか、AIの要約だけでは判断できなかったことです。元の記事と別の資料を読み比べて、ようやく確定しました。もう1つは、総務省のページの文字コードが古い形式で、AIの読み取りツールでは文字化けしたことです。データを直接取り出して読み直しました。

速くなるのは「作業」で、確かめる時間は残る。熟練エンジニアの研究と同じ構図です。このブログで実際に起きたAIの間違いはAIの「もっともらしい間違い」実例10選で紹介しています。

今日から始める3ステップ

調査と研究をふまえた、おすすめの順番です。

  1. 議事録・メールから始める:効果を感じる企業が72.3%と、いちばん確実な業務です。そのまま使えるプロンプトはAIで業務効率化、個人でできること一覧にまとめています
  2. 決まった作業をツールにする:毎月の集計やチェックは、AIに小さなツールを作ってもらいます。ExcelならExcelの面倒な作業をAIで自動化する方法、身近な例はAIで作れる時短ツール実例7選が参考になります
  3. 自分で作れない自動化は、人に頼む:社内システムとの連携や、少し複雑なマクロは、作れる人に頼むほうが早いこともあります

業務の自動化を、作れる人に頼むなら

ココナラには「業務自動化・効率化支援」というカテゴリがあり、Excelマクロ・VBA作成やGAS(Googleスプレッドシートなどを自動化する仕組み)作成などを個人に依頼できます。会員登録は無料で、出品者の実績や評価を見て選べます。「AIで試したけれど、ここから先が作れない」というときの選択肢として知っておくと便利です。

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よくある質問

Q1. 会社でAIの利用が決まっていない場合はどうすればいいですか?

A. まずは勝手に判断せず、会社のルールを確認してください。総務省の調査では、生成AIを「積極的に活用する」「領域を限定して活用する」方針の日本企業は合わせて68.9%で、米国・ドイツ・中国より低い水準です。ルールがない場合でも、社外秘の情報や個人情報を入れないことが最低限の線引きです。

Q2. 無料版のAIでも効果はありますか?

A. 議事録やメールのような下書き作業なら、無料版でも効果を感じやすいです。文章作成の研究(2023年)も、当時のChatGPTで作業時間が40%短くなっています。長い資料を読ませる、大量のデータを扱うといった作業では、上限の大きい有料版が有利になります。

Q3. AIで仕事が速くなったかは、どう測ればいいですか?

A. 同じ種類の作業を、AIあり・なしで数回ずつ行い、確認や修正にかかった時間まで含めて記録するのが確実です。熟練エンジニアの研究のように、体感では速くなったと感じても、実際は遅くなっていることがあるからです。

Q4. ベテランにはAIは必要ないのですか?

A. そうとは言えません。研究で効果が小さかったのは、ベテランが慣れている仕事です。専門外の作業や、毎回同じ手順を繰り返す作業では、ベテランでも効果が出ます。また、METRの追跡調査のように、AIの進化で結果が変わりつつあります。

Q5. どのAIを使えばいいですか?

A. 議事録・メールのような文章の作業なら、ChatGPT・Claude・Geminiのどれでも十分に役立ちます。違いと料金はChatGPT・Claude・Gemini 徹底比較にまとめています。

まとめ

  • 日本企業の86.4%が生成AIを業務で利用。ただし効果の実感は業務によって大きく違う
  • 効果を感じる企業がいちばん多いのは議事録・メール作成補助(72.3%)。営業・社内システム開発・経営は「使っているのに効果を感じにくい」
  • 研究では、文章作成は40%時短、問い合わせ対応は新人ほど伸びた。一方、AIが苦手な課題では正答率が下がり、熟練エンジニアは慣れた仕事で19%遅くなった
  • 効果が出やすいのは「下書きで済む」「すぐ確かめられる」「まだ慣れていない」仕事。時間は確認まで含めて測る
  • 始める順番は議事録・メール → 決まった作業のツール化 → 作れない自動化は外注

参考にした情報

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